トーキングヘッズ

僕は会話が下手だ。上手く会話の波に乗れた時はまあまあ会話が続くのだが、基本的にはすぐ話が途切れてしまう。中でも夢の話は難易度Sクラスである。「ねぇねぇ昨日変な夢をみたんだ!あのね‥」とはじまると激しい緊張が走る。肩甲骨の辺りがカッチカチになる。その話がどれだけドラマチックで変な結末だとしても「ほぇ〜そうなんだ‥」で会話が終わってしまい、後にはなんとも気まずい沈黙が立ち込める。会話上手な人だと、そこからビシバシ話を広げる事ができるんだろうが、僕には全くどうしていいのかわからない。頭真っ白。
“なんか言わねぇと!なんか言わねぇと!”と思ってる間に沈黙の霧はどんどん濃くなっていく。話してくれた相手の姿が霧に飲み込まれ見えなくなっていく。“やばいやばいやばい”
手の平はハンパない量の汗をかき、からからの口は飲み込めるもの探している。そして、ようやく、なんとか、声を絞りだす


「どぅるるべぇね」
「…え?」
んっ!んっ!←痰をきっている音
「すげぇね」
……………………………………………………
「なんかごめんね興味なかったよね?」


そうじゃない!そうじゃないんだ!!!!ごめんよ!ごめんよー!!
と叫ぶ。心の中で。